脂肪幹細胞の性質は検体ごとに大きくばらつきがあり、安定した治療効果が得られにくいというのが、現状の大きな課題の一つです。
要因は、ドナーの個体差のみならず、採取部位・採取方法・培養方法・凍結保存方法の違いにもあると考えられます。
そこで本事業では、最適な状態で脂肪幹細胞をストックするための技術基盤の構築を目指します。
具体的な目標は、3年間で100検体の脂肪幹細胞をストックし、以下の2つの目的を達することです。

脂肪幹細胞を適切にストックするための、
技術基盤を構築する

脂肪幹細胞の管理プロセス(脂肪組織の採取、幹細胞の抽出・輸送)における、検体の最適な扱い方を検討します。また、さまざまな条件下で幹細胞を凍結・解凍し、品質(安全性、増殖活性、純度)や特性(分化方向、放出するサイトカインの種類・質・量)の変化を評価します。
これらを通じて、幹細胞の能力を損なわない、あるいはその働きを最大限に引き出すための外的要因を明らかにすることが目的です。

脂肪幹細胞の、
血管形成能の評価法を開発する

「増殖能」、「血管形成能」、「遊走能」、「抗炎症能」など、脂肪幹細胞に期待される有用性は数多くありますが、本事業では血管形成能に着目します。
最終的な目標は、個々の検体が持つ血管形成能を評価できる遺伝子マーカーを探索・同定し、脂肪幹細胞の評価基盤を確立することです。これによって、どういった特性を持つ幹細胞がより優れた血管再生機能を有するのかを明らかにします。